アンギストリヌス(学名:Angistorhinus)は、アメリカ合衆国のテキサス州とワイオミング州の上部三畳系から化石が産出している、絶滅した植竜類の属。長い吻部や皮骨板といったワニに類似した外見を持ち、半水棲の生活を送っていた。
説明
アンギストリヌスは初期の植竜類の属の1つである。形態は同じく初期のパラスクスと類似するが、鼻孔がより後側に位置して目の直前に近い点で異なる。これは後期の全ての植竜類を特徴づける特殊化した形質状態である。アンギストリヌスはどの基準に基づいても巨大な動物であった。頭蓋骨長は一般に約120センチメートルであり、全長は8メートルに達したと推定される。後述する A. megalodon はより大型であり、短く重厚な吻部を持つことから別属ブラキスクスとして扱われる場合もある。本種の大きさは全ての現生のワニを上回るものであった。
分類
アンギストリヌスは1913年にMehlが最初に命名しており、タイプ種はAngistorhinus grandis である。テキサス州とワイオミング州から産出した他の種としては A. alticephalus (Stovall and Wharton, 1936)、A. gracilis (Mehl, 1915) 、A. maximus (Mehl, 1928)が居るが、これらはタイプ種と同種である。アンギストリヌスの標本は、ワイオミング州のChugwater層群 Popo Agie 層から回収されたものでは、部分的な頭蓋骨と下顎であるホロタイプ標本 UC 631 と、部分的な頭蓋骨であり関連するパラタイプ標本 UM 531 が知られる。テキサス州のDockum層から回収されたものでは、頭蓋骨と下顎の TMM 31098-1、部分的な頭蓋骨と下顎の ROM 7977 が知られる。モロッコの三畳系から産出した A. talainti は本属の第二の種である可能性がある。
1995年、Long と Murry はブラキスクスのシニアシノニムとして Angistorhinus megalodon という新たな組み合わせを提唱している。また、Hungerbühler and Sues (2001) はアンギストリヌスがルーティオドンのジュニアシノニムであるとの仮説を立てている。しかし2010年に Michelle R. Stocker は継続してブラキスクスを有効な属、A. grandis として扱っている。
系統
以下のクラドグラムはKammerer et al. (2016)に従い、植竜類の類縁関係を示す。
出典



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